「三殺法」について

最近、稽古会が再び盛り上がってまいりました。
これもひとえに参加いただいている皆さんのおかげです。
ありがとうございます<(_ _)>
剣道の理合の源は天然自然の法則です。
春が着たら夏が来て、夏が着たら秋が来て、秋の次には冬が来る。
我らが稽古会もこの10年、春夏秋冬の理に沿って運営されています。
で、今は「春」。
これから夏、秋に向けてヒートアップしていきましょう!
【業務連絡】 川崎君!みんな待ってるよ〜♪
ところで、今回は、先週の稽古会の後の2部道場で佐野さんが
話されていた「三殺法について」です。
刀を殺し、業を殺し、気を殺す。
これが三殺法です。「三つの挫き」とも言います。
高野佐三郎範士の『剣道』によると・・・
「刀を殺す」とは、敵の刀を左右に押さえ、或いは払い落しなどして
自由に太刀を使用させないことをいう。
「業を殺す」とは、自分から鋭く撃ち懸け突き懸け、たとえ撃突が外れても、
気にせず奮進して敵に接近し、体当たりし、敵が防御一方になって、
技を出す余裕を持てない状態にすることをいう。
このようにされると、いかに気が猛々しく業が早い者であっても
その勢いに挫かれて業を出すことができないものだ。
この方法で勇敢に働いて、敵の起り頭を押さえて常に先に出る時には
敵は自分の勇気に恐れ、気を奪われ、はなはだ戦いやすくなる。
しかし、未熟なものがこれを試みれば、却って破綻を招くことがある。
修錬の効を積んだ上での工夫であることを忘れてはならない。
敵が打ち出す後を撃てば相撃となり、敵の働きに引廻されれば先を取られる。


なので、敵の打ち出す太刀を足で踏みつける心得でとっさに打ち返し、
先を取り、敵が二の太刀を打つことができないようにすることである。
これを『剣を踏む』という。
踏むといっても足で踏むのではない。
体で踏みつけ、心で踏みつけ我が太刀で踏みつける心得で
敵が再び撃ち出す事ができないようにすることである。
これもまた敵を挫くひとつの方法である。
と、三殺法と敵を挫く方法について大体このようなことが書かれています。
剣道では、何をおいても初太刀を打ち切ることが大切だと思います。
初太刀を打ち切る。言葉で言うのは簡単ですね・・・(^_^;)
打ち切ったところに残るものがあり、それが残心。
残心は残そうとして残すものでなく、捨てたところに残るもの。
先達はそのように教えています。
これを修得するのも一苦労ですが、その先はもっと大変です。
初太刀が決まらなければどうするか。
縁を切り、再び仕切りなおしではいけません。
(きついから、ついこれをやっちゃうんですよね・・・反省)
では、どうするのか。
一度太刀を撃ち出したら、勝負が決するまで、息をつがずに
同じ呼吸で二の太刀、三の太刀を繰り出すのです。
これが難しいですね。
高野範士が書いているように、下手をするとガチャガチャの
打ち合い剣道になってしまう恐れもあります。
二の太刀も初太刀のつもりで、三の太刀も初太刀のつもりで
いちいち初太刀のつもりで行く必要があります。
二の太刀、三の太刀がいわゆる初太刀と決定的に違うのは、
じっくりと攻める時間がないことです。
こちらの仕掛けで相手は動いています。
その動きの中に瞬時に打つべき機会を見出して太刀を繰り出す。
その一本一本が理にかなっていないといけないのです。
こりゃ本当に難しいですね。
技術の差があまりない相手や、格上の相手との立合いでは
一本技で勝負を決めるのは至難の業です。
格上の相手との立合いではなおのこと、
相打ちになったり、打ち返されたり、すり上げられたり・・・。
そのような時、残心で残った息を使って更にもう一太刀、
更にもう一太刀と太刀を繰り出していくために最も大切なもの、
それは『丹田を使った呼吸』です。
これを錬るのが稽古の本質だと(頭では)思います(^_^;)
懸り稽古や打ち込みで目指すべきはこの丹田呼吸法の修得です。
この修得を目標にすれば、稽古はいつもやり甲斐のあるものになるはず。
打った打たれたは自分の稽古の進み具合の指標に過ぎません。
私は、まず、打たれることを嫌がるのをやめ、
相手の太刀をよけるのをやめることからはじめました。
ちなみに足捌き、すりあげ、打ち返し、応じ返しなどは打突のプロセスであって、
よけているのではありません。念のため・・・。
三殺法を修得できるように、まずは初太刀を打ち切る稽古、次に
二の太刀、三の太刀を繰り出す稽古、そして、三殺法というような
段階的な目標を立てて丹田呼吸法の修得に取り組めば、
いずれ到達できると思います、思うかな・・・思うようにしましょう(+_+)
夏のこの時期にはかなりきついですが、呼吸法は健康法でもあります。
剣道は健やかな肉体と健やかな精神を作る素敵な修行です。
自分の体調と相談しつつ無理のない範囲で取り組みましょう!
無理はいけません。
戸締り用心火の用心、一日一善。
健やかな精神は健やかな肉体に宿るのです!稽古しましょう!
それでは、また土曜日にお会いしましょう。

この記事を書いた人

剣道錬士六段 ザイツゴロウ