第17回 武蔵研修会のご報告

8月26日(土)27日(日)に岡山県英田郡大原町宮本の武蔵の里で恒例の武蔵研修会が開催され、九州松下剣友会からも9名が参加しましたのでご報告いたします。
今回は、急遽長崎の飯盛さんが参加できなくなり残念でしたが、来年はぜひ一緒に行きましょうね(*^_^*)
さて、研修会の方ですが、今年は41名の参加ということで過去最大規模の研修会となりました。
松下電器剣道連盟の横山範士の指導の下、熱気あふれる剣士の皆さんとの稽古は大変刺激的で、個人的には例年通り多くの反省点と課題を発見することができました。
参加した皆さんもそれぞれに得たものがあったようです。
今年の研修会で特に指導があったポイントをご紹介いたします。


【日本剣道形について】
・ 形は稽古のごとく、稽古は形のごとく
形は「型」ではなく「形」であることが大事。凝り固まって動かすことのできない「型」を覚えて、それにはまるということではなく、大まかな形を覚えることから入って、徐々に稽古を積んで行き、心を吹き込むことで生き生きとした形を目指す・・・そんな柔軟なものとして捉えれば、細やかな部分について多くの工夫を施す余地が出てくる。
その意味で、まずは「順番を間違えない」という最低限のところを体に覚えこませることが重要になる。これなしに工夫のしようがないし、これがないと危険にもなる。
まずは頭で考えなくても、正しい順番で大まかなに形を打てるようになったら、後は打ち太刀・仕太刀の息を合わせながら細部の工夫を行い心を吹き込んでいく。色々な人と形を稽古することで互いの息を合わせるということも学べるだろう。そんな取り組みを日ごろから行うとよい。
これについては毎週17時から日本剣道形の稽古を行っています。
ほとんどの週は私ひとりで鏡の前に立ち、「ひとり剣道形」を行うにとどまっていますが、今後は日本剣道形の稽古にも力を入れていこうと思います。興味がある方はぜひ17時に始められるように武道場に集まりましょう!
【稽古について】
・ 左手の働き
面を打突する際に左脇が開き、左のこぶしが右のこぶしと同じ高さにまで上がり、竹刀を持ち上げるように打ってしまう人が多い。このように打つと竹刀が左面側(打突側から見ると右側)に流れてしまう。
この理由のひとつは左手の握りがおかしいことである。
左手の握りがおかしい場合、面を打突した後に剣先が高く上がってしまうケースも見受けられ、結果的に手の内が弱くなり、打突に冴えがなくなってしまう。
また、打突の途中にこちらの竹刀が相手の竹刀と接触すると、簡単に中心線から外れて行ってしまう。
左手の握りを正すと手の内が強くなり、相手の打ち出す竹刀と接触しても切り落として中心線に乗って相手の面を捉えることができるようになる。
この辺りを工夫すると良いだろう。
・ 構えのポイント
横山範士に「日ごろどのように構えているか。大事なことは何か?」と問われて・・・
多くの人が「相手の全体が見えるような目付けで構えること」と答えた。
それに対して、「構える時には相手を威圧することが大事である」とのこと。
蹲踞から立ち上がって構えを整えている人が多いが、これではだめで、蹲踞をした段階で剣先をしっかり相手の喉元につけて構えを整えた上で立ち上がるようにすること。
剣先のつけ方については、「剣先を相手の左目に付ける」と言う教えもあるが、余程熟達した者でなければ弊害が多い。
まずは基本どおりに相手の喉元にしっかりと剣先をつけて相手を威圧することである。
・ 重心の置き方
重心を右足の親指の付け根の辺りにおいている人が見受けられる。
これでは構えが前傾になり、打ち出す際に一度左足に重心を移さなければ前に出ることができなくなってしまう。これでは一拍子に打つことは難しい。
重心は左足の親指の付け根辺りにおいて構えると良い。
そこに重心を置いておけば一拍子で踏み込むことができる。
・ 打突の機会
応じ技や返し技ではなく、相手の出端を捉える仕掛け技、引く相手を追い詰めて放つ仕掛け技、居ついたところに放つ仕掛け技を中心に「掛かる稽古」を徹底すべきである。
指導してくれる先生方の剣道を真似するのは良いが真似をしすぎると弊害があることもある。
応じたり返したりして後の先の技を繰り出すことも剣道の奥深さではあるが、これらは上級の技であり、「掛かる稽古」を積む上では必ずしも好ましい取り組みとはいえない。
応じ技や返し技の稽古をしているうちに、知らず知らずに「待ち」の姿勢になってしまうことが多い。
こうなると矯正が難しくなってしまう。
若いうちは「掛かる稽古」にしっかり取り組んで、積極的に先をとる剣道で「地力」をつけるべきだろう。
・ 足の働き
足は居つかない様に「陰陽の働き」で交互に動かすこと。
稽古が足りないと出足が悪くなるが、出足が悪いところに無理やり右足を出すと左足が引き付けられずに残ってしまいがちである。
これに加えて左脇が開いた状態で左手が上がることで体が開いた打突になってしまう。
足捌きの稽古を欠かさないこと。
・ 稽古会の雰囲気
追手門大学の合宿に参加されていた石塚範士が研修会の朝稽古を覗いてコメントされた。
「いい雰囲気でやられていますね。」というようなことであった。
稽古会に参加しているみなの心持や態度が稽古会全体の雰囲気をかもし出す。
厳しい剣道の世界を過ごしてきた人から見れば、その雰囲気の中に「真剣味」があるかどうか自然とわかるものである。
選手権を制した程の石塚範士が稽古風景を一目見て、このような言葉をいただけるような真剣みのある雰囲気をかもし出せていたことは、参加しているひとりひとりの剣道に対する真剣味のなせるわざである。誇りに思ってよいだろう。
この話については、日ごろの九州松下剣友会の稽古会でも、このような真剣みのある雰囲気をかもし出せるような稽古会を目指したいと思います。
以上のような感じでした。
最終日には恒例の紅白戦も行われ、9月18日に全日本実業団に出場する松下電器Aチーム対Bチームの試合では、手島さんや永井さんの試合運びを見ることができ大変勉強になりました。
我が稽古会からも芳野くんが松下電器Bチームの先鋒として出場します。
がんばれ芳野くん!
例年通り、夜の宴会に温泉と、楽しみも満載の研修会でした。
参加された皆さん、本当にお疲れ様でした。
来年は今年以上に大勢で参加しましょう(*^_^*)
以上、在津から武蔵研修会レポートでした。

この記事を書いた人

剣道錬士六段 ザイツゴロウ