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六段不合格!


本日六段昇段審査を受審してまいりました!

結果は・・・不合格でした (´・ ・|||)

全部で確か5パートあって、そのうちの3パートで受審しました。
午前中の前半15組が立ち合いを終えたところで一旦区切られて、そのグループの合格発表が行われました。

ひと組4人ですから1パートに60名いたことになります。

で、私の3パートの合格者は4名でした・・・。

ざっと計算してみたところ午前中前半の部は、全部で約300名の受審者に対して合格者30数名と言う感じでした。

審査が終わったところで数人の先生から講評を頂いたところでは、ひとり目は面と小手が決まっていたが、ふたり目は決め手がなかった。五分五分な感じだ・・・とのことでした。

また、他の方からは、ひとり目で面と小手が決まっていたが後打ちになっている印象があった。と言われました。

3パート合格者4名のひとりは私の組から出ました。

合格者と私のふたりと立ち合った方の話では、私との立合いでは面と小手を決められたと思ったが、合格された方との立ち合いでは一本も打たれなかった、確かに少しも下がらなかったし、こちらの攻めを封じてきたけれど、なぜその方が合格されたか不思議に思ったと言われていました。

で、自分的な所感としては・・・

気持ちの面では不思議なくらい落ち着いていて、良くも悪くも日頃の立ち合いどおりの内容を出せたと思います。その意味ではもっとあぁすればよかったとかこうすればよかったという後悔はなく、納得のいく結果でした。

ただ、残念だったのは、ここ数ヶ月全く不本意な剣道をしていたことです。

3月くらいから自分の剣道に不安を感じ始め、4月以降色々と取り組んできましたが、結局最後までその不安を払拭できる要素がないまま当日を迎えてしまいました。この漠然とした不安がそのまま結果につながったという印象でした。悪い予感が当たった感じです。

やはり、自分を信じることができない状態で合格できるわけがないですね。

また、改めて強く感じたのは、グループ60名中の4名という水準の合格枠に入るには、そのグループの中で余程光るものがないとだめだなと言うことです。

以前、ある先輩が7段に不合格になった直後に話されていた内容が思い起されました。


先輩の話をまとめると・・・
7段の審査では6段までに必要なことができるのは当たり前だ。先をとって機会を捉えて適切に打突するのは6段を持っていればできて当たり前だし、これができないなら、そもそも7段に挑戦する以前の問題で話にならない。
それらの要素をきちんと押さえた上で、その日受審しに来た人たちの中で特に光るものを示せなければ合格はできないと感じた。

実際の審査会場を体験してみて、この話を思い出していました。

自分の前の立ち合いをずっと見学していたのですが、正直な印象としては、誰も彼も変わり映えしないということ。印象に残る人はほんの少ししかいないのです。みんな似たような立ち合いを展開していました。

この状況で考えられるのはふたつにひとつ。今日受審している人がほとんど合格するということか、それともほとんどの人が合格できないということか。

どちらだろう・・・まぁ後者だろうな。とすると、六段でも先輩の話と同じと言うことか・・・。どうすればこの人たちの中で光ることができるだろう。

そんなことを考えながら自分の番を待っていました。

で、いよいよ自分の立合いがやってきたのですが、先に書いたとおり驚くほど落ち着いていました。

まず立ち合いの途中でいくつか感じたことがありました。

ひとり目

蹲踞から立ち上がり、遠間の攻防の過程で掛け声をかけて、じりじりと触刃の間に入るところまではイメージどおり。そこから・・・

 ・ 思うように先が取れない
 ・ 打突の機会でない所で打って出てしまった
 ・ 出遅れたのに応じ技が出せず、まともに打って行ってしまった

確かに自分でも、攻めて面、攻めて小手と決めた感じがあって手ごたえもいくらかありました。

しかし正直な印象としては・・・

 ・ 打つべき機会でないところで散々竹刀を振ってしまった
 ・ 打って出てから出遅れていたことに気づいた場面があった
 ・ 出遅れたことを察して応じ技に切り替えるということが一切できなかった

これらの方が気になりました。

ふたり目

これも蹲踞から立ち上がり、遠間の攻防の過程で掛け声をかけて、じりじりと触刃の間に入るところまではイメージどおり。そこから・・・

 ・ 相手の動きに振り回されて場を支配できていない
 ・ 攻めあぐねた結果、機会でもないのに打って出てしまった
 ・ 余計な考えが頭をよぎり立ち合いに集中できなかった

触刃の間から相手が急に右に右に(私から見ると左に左に)ぐるぐる回り始めました。
これにつられて自分も回り始めてしまい、気がつくと審査員席を背にしていました。

そこで、はっとして一緒に回るのを止めようと考えた辺りからおかしくなって行きました。
その時点ですでに相手のペースで立合いが進んでしまっていました。
相手は合格には程遠い内容でしたが、そんな相手に主導権を握られた自分もかなりのお粗末さ加減でした。

今日の審査の合格基準で六段に合格しようと思えば、その日受審に来たどの剣士と組み合わされても、彼らのペースに惑わされることなく、相手の動きを封じながら先を取り、相手を厳しく攻めて場を支配し、打突する機会を作り出し、理にかなった有効打突を奪うことができる地力が必要だと思います。

仮に最後の有効打突を奪うところまでもって行けなかったとしても、相手の動きを封じて先を取り、相手を攻めて場を支配することは最低限必要だと感じました。
その上で攻め崩したところに打突する機会を見出し、自ら作り出したその機会に迷わずさっと打ちに出る姿勢を見せることができなければ話にならないと感じました。

ほとんどの受審者は(私も含めて)そんなことはできていませんでした。

立会いの「初め」の声で立ち上がると同時に掛け声をかけながら触刃の間までさっさと入って来る人、触刃の間でしばらく剣先をかちゃかちゃやったと思ったらこちらの竹刀を強引に払って打って来る人、無造作に近間まで入り込んできてから掛け声をかけてくる人、間合いも機会も一切無視して打突して来る人、意味もなくくるくる回る人・・・そんな色々な人を相手にしなければならない中で、それでもきちんと場を支配して先を取り、打突の機会では迷わず決断して打って出て、それ以外のところでは決して竹刀を振らないという判断と決断が適切にできなければ合格は難しいでしょう。

自分の日頃の稽古でこのような点に重点を置いて取り組んできたかと考えると、その取り組みの甘さを痛感しました。

これが今日一番の収穫です。

頭では難しい審査だとわかっているつもりでしたが、思っていた以上に厳しいなという印象です。

もっともっと自分に厳しく取り組んで行かないと、合格は遠いなと感じた次第です。

ここからが正念場と覚悟を決めて合格できるまで粘り強く取り組んで行こうと思います。

取り急ぎご報告まで。


コメント

「六段不合格」読まさせていただきました。
まさしくそのとおりです。
私も六段審査には泣かされました。何回も受験させていただき、毎回不思議に思ったことを貴君が書かれていたので、なつかしく感じました。
 さて、貴君の書かれた内容で、私が感じたことや、たぶん思い違いしていると感じた部分について触れさせていただきます。
内容によっては無礼な書き方になっているかもしれませんが、ご容赦ください。

1 貴君と合格者の両者と立ち会った方に聞いた話についての 行
  その方は
     合格者に一本も打たれなかった、下がらなかった
 と話していますが、「打たれた打たれない」「下がった下が らない」では なく、どちらが先に「先をかけて攻めて打ち 切った技を出したか」が問題です。
  貴君の「ひとり目」と書かれた相手が合格者だと思います が、「思うよ うに先がとれない」ということを一番気にし てください。
  あくまでも貴君が「先」について正しく理解していると仮 定しての話になりますが
  私もこの「先」がわかるまで何がなんだかわかりませんで した、先に打 つ・早く打つものとばかり思っていたのです が、まったく違いました。
  簡単に言うと、先の気で構え相手と合気になる、合気にな ったら先(攻 め)をかける、その後に打突があります。
  打突はどうでもいいのです
     (こういうと語弊がありますが)
  先の気構えで合気を感じたら攻め打つ、その手順が正しけ れば必ず当た りますし打ち切った打突になります。
  また、相手が貴君と互角ならば相打ち、格上なら打たれま す。
  審査員が無条件で合格と○印をつける者はそんなにいない と思います。 
  5.5〜5.9段の者をどのラインで線引きするのかが審 査員の仕事です。
  もう一度思い出してください、たぶんひとり目の技量は貴 君と大差ない と思いますが、その方は「省略とため」を理 解して打ち切った技を出していたと推察されます。
  「出遅れたことを感じた」と書かれていることが、先の遅 さを物語っています。応じ技とは後の先であり、本当の意味 で打つならば「貴君が先をかけたら打ってきた場合」に反射 的に体が動くものであって、出遅れたと感じた時点で、その 一本は先の取り合いで貴君が負けています、「よーし 次の 一本では先に攻めをだすぞ」と2本目に気持ちを移すべきで す。

2 60名中の4名に入るには余程光るものが・・の行
  光るものは前記した「先を先に取って攻め打つ」しかあり ません。
  1コートの余程の試合巧者でもないかぎり、3・4・5コ ートはドング リの背比べです。
  私が思ったことは、審査員は下半身を見ているということ です。
  身体能力の高い若者は早く打とうとすると、上半身を前傾 にしてから足 が始動します。
  それだと五段までの打って勝つ剣道です。「攻め勝って打 って勝つ」の が6段である以上、打って勝つの前にワンク ッション入れなくてはなりま せん。
  そのワンクッションが光るものです。

3 主導権
  これはむずかしい。
  常に流動しているのが主導権です。
  1分間すべて主導権を握ろうと思うこと自体、無理です。
  只、先をかけているならば主導権は取りやすいし、取られ にくいことは 確かです。

4 受信者どの剣士と組み合わされても・・という行
  これは無理です。
  それができたら、貴君は全日本で優勝できます。
  私の経験から4段〜7段審査で、つまづきの確率が高いの は4段と6段 だと感じます 
  4段から5段・6段から7段へは比較的つまづきが少なく 皆さん合格されています。例外の方もいますが・・
  4段・6段は剣道の変わり目だと思います。
  4段6段を理解して合格した者はそのまま上位段に受かり ます。
  今一番多いのは「7段に受からない者」です。10%を割 る合格率であ ることも反映されていますが、私の周りを見 て思うに
      6年前以前の20%台の時に6段合格した者の中     で、6段の理解をしないで受かった者たちが苦労し     ている
 と思うのです。
  現在6段は11〜12%、当時の約半分です。
  ということは現在なら受からない者が当時は合格していた のです。
  当時7段が14〜15%で現在は半分ということを考えれ ば、理解しな いまま合格した者たちが受からないのは当た り前です。

 
  6段審査で一番困難だったのは、「先・攻め・合気・溜  め・省略」を自 分が理解稽古して審査に望む際、それを理 解しないで5段の延長と思って 受験してくる者と当たった ときどう対処したらいいんだろうかでした。
   (現在は対処できますよ) 
  なぜなら、合気・溜め出してから打つ以上、どうしてもそ れがない者に はワンテンポ遅れるため打たれるからです。
  考えた結果、相手に無理矢理「省略」をしてもらうことに しました。
  バカバカ打ってきてもらっては困るのです。相手を落ち着 かせ、「こち らはまだ打ちませんから落ち着いてくださ  い」と対峙してしばらく構えたままにしてもらう方法です。
  相手が落ち着いたところで、先をかけての打ち切り技を出 すと二人ともうまく反応してくれました。
  貴君は完璧を求めようとしていますが、剣道に完璧はあり ません。
  中にはどうしようもない相手がいるのです。
  そのときには運が悪かったと思って、次回を狙ってくださ い。
  ただし、どうしようもない者に当たる確率は低いですから 安心してください。
  という意味で、自分が正しい方法を取得して審査に望み、 1回で合格できたならば、相手に感謝すべきです。
  それは相手も正しい剣道をしてきてくれたからです。
 
以上が貴君の書かれた内容に対して、私が感じたものです。
うまく文章表現できずに生意気な部分もあると思いますが、お腹立ち覚悟で書かさせていただきました。
 11月の審査結果を楽しみにしています。
  
 


スリーピースドラゴンさん

コメントありがとうございます。在津です。

腹を立てるなどとんでもないです。
何度もありがたく読み返させていただいています。

8月に受審してから色々と自分なりに反省し、新たな気持ちで稽古に取り組んでいます。

審査の際に感じた「出遅れる感じ」に問題があったのではないかと考えて、この数ヶ月は「遠間から先を取る気持ちではじめて、相手が動く気配を見せるその頭で、相手が動くより先に打ち間に攻め入って打ち切る」という課題に取り組んでいます。

この取り組みで良いのかどうかは正直手探り状態です。

そのような中頂いたコメントでもあり、大変ありがたく、1、2、3の内容については、審査後に周囲の先輩方に話を伺った結果を総合して自分なりにたどり着いたイメージと重なる部分が多くあり、心強く感じました。

特に「先を先に取って攻め打つ」というのが自分がやろうとしているイメージに近いような気がしています。
「攻め打つ」というニュアンスの部分について、夏までは「攻めて打つ」と考えていたのですが、このイメージでは「攻める」と「打つ」が2段階になってしまいがちで、だめだと感じました。

そこで、「攻めて」相手より先に「打つ」のでなく、相手より先に「攻め打つ」を目指しているところです。
(これまた思い違いでないことを祈ります・・・)

頂いたコメント中の「省略とため」の「省略」の部分が、自分の不勉強のせいでピンと来ませんでした。これからこの部分について調べて取り組んでみようと思います。

先の8月に不合格となったことで、この2ヶ月間改めて色々と試行錯誤を行い、結果的に8月の頃よりも理解が深まったと思います。(自己評価でしかありませんが・・・(^_^;))

六段の合格基準は「剣道の精義に錬達し、技倆優秀なる者」となっていますが、これは「剣の理法に精通している実践者」であることを意味するだろうなと解釈しています。
「剣道についての深い知識を実践(体現)できる者」・・・これを目指そうと思います。
そう考えるとまだまだ道は遠い気もします。

今後も、沢山の誤解・思い違いを乗り越えて、一歩でも前進できるように取り組んでいきたいと考えております。

頂いたお言葉を無駄にしないよう、合格できるまで精一杯がんばります。
私の拙い記事にご教示を頂きありがとうございます

つたなく、えらそうな文章に丁重なお返事をありがとうございます。
私もえらそうなことを言える立場ではございませんが、審査での苦労は人一倍していると思いますので、参考になればと思い投稿させていただきました。
財津さんの言う「攻め打つ」は正しい行為だと思います。
私は最近の試合では「攻めて打つ」と「攻め打つ」を使い分けるようにしています。
攻め打つを覚えると、相手の攻めに対しての攻め返して打つといったおもしろさを体験できますよ。
攻め打ちを稽古するにはやはり上段者が最適です。
上段者は必ず攻めに応じてくれます
また練習するには下段者を使い、攻め打ちが自分のものになったか確認するには同段者を選んでください。
同段者とは当たっても当たらなくても打ち切るという心を作ることです。
(攻め出すタイミングもありますが・・)
「打って反省打たれて感謝」の本当の意味がわかってきます。
審査では「攻めて打つ」の「て」の字を抜いてください。

「省略」とは無駄打ちをしないことです。
簡単に考えるならば、やたら打たないととらえがちですが、「剣の理法に精通している実践者」とのお考えのとおり、理法がありますので、無理矢理こじ開けて打っても無駄打ちになります。
財津さんの攻めに対して相手が応じる、居着くといった課程を経て初めて打つ行為になります。
要は、他人の家にチャイムもならさずにあがってしまう、ノックしないで入室する行為は失礼になるのと一緒です。

大相撲で立ち会いの時に力士が手をつくのも一緒です。
「はっけよい」のかけ声で立ち会うのが草相撲、大相撲は力士同士が呼吸・合気を合わせて立ち会います。
この手をつく早さや、付き方が攻めと同じと考えます。
6段以上の剣道もこれと同じと思います。
そこで初めて格の違いを見せつけられます。
今打てば打てるんだけど、打てば相手の人格を無視した打ちになってしまうのが無駄打ちです。これを省略することです。

私が受からなかった理由を先輩たちはこう言って教えてくれました。
人それぞれの考え方や技量に応じた理解度もあり、財津さんにはピンとこない内容かもしれませんが、参考まで投稿させていただきました。

「今打てば打てるんだけど、打てば相手の人格を無視した打ちになってしまうのが無駄打ちです。これを省略することです。」とのこと、これが「省略」・・・なるほどと思いました。

ご教示ありがとうございます。

私の技量に応じた理解しかできていないと思いますが、口伝と違う良いところは、何度でも読み返せるということでしょうか・・・、週に一度ほど読み返させて頂いています。本当にありがたいことです。

最近、自分は無意識に「当てよう」と思ってしまうから無駄打ちをしてしまうようなので、「当てよう」とするのはやめて、ここだと思ったらとにかく打ち切る剣道に切り替えることはできないか、と感じる機会がありました。

心がけてはいるのですが、まだまだ全くできません。
「今打てば・・・」の「今」で打ってしまっているのだと思います。

悪くすると、そこで打ってしまっているのに、相手を打った満足感に剣道を見失っていたりするのではないかと心配になる日もあります(^_^;)

自分勝手な剣道は卒業して、相手と息を合わせたところからの勝負の世界に自分も早く入って行きたいものだと思います。

六段挑戦第2ラウンドも数日後に迫ってまいりましたが、今は現在の自分にできることを精一杯出し切って、結果は粛々と受け止めようと考えています。

開き直りつつあるといったほうがよいのかもしれませんが・・・(^_^;)

いずれにせよ、最善を尽くして来ようと思います。

合格できるのはいつのことか想像もつきませんが、合格するまで粘り強く挑戦する覚悟です。

コメントありがとうございました

昨日の栃木審査で五回目の六段審査に不合格になったものです。
とても、興味深く拝読させていただきました。
とくに、「どちらが先に先をかけて攻め、打ち切った技を出したか」が大事であるとのご指摘は、いろいろ悩んでしまっている自分には、
とても参考になりました。
一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか。
「先をかけて相手を引き出して」打たないと合格は難しいともいわれます。
端的に言うと、出端の技ということになるのでしょうが、それはそうなのでしょうか。実際、昨日の栃木審査での合格者のビデヲを見ると、出端の技を多用しているように見えます。

kozoさん、コメントありがとうございます

その後、名古屋、名古屋と2度連続して不合格となり、来週福岡で4度目の挑戦を控えている在津です。

さて、

>「先をかけて相手を引出して」打たないと合格は難しい

・・・それはその通りなのだろうなと思います。

> 端的に言うと、出端の技ということになるのでしょうが、それはそうなのでしょうか・・・

これは「イコール出端技」というわけではないようです。

まだ合格できていない私が答えるのもいかがとも思いましたがコメントしてみます。

これは以前スリーピースドラゴンさんがコメントしてくださった中にも下記のように出てきた部分です。

>簡単に言うと、先の気で構え相手と合気になる、合気になったら先(攻め)をかける、
>その後に打突があります。打突はどうでもいいのです(こういうと語弊がありますが)
>
>先の気構えで合気を感じたら攻め打つ、その手順が正しければ必ず当たりますし
>打ち切った打突になります。

つまり、先をかけて相手を引出す際には、最初から出端技を狙って行うということではなく、
引出された相手の動きによって技を選択して施すのだけれど、
六段挑戦中くらいのレベルなら、まずは出端技の機会は逃さず決められるくらいであってほしい。
こういうことではないでしょうか。

引出す相手のどのような動きに対しても体が反応できるように、
日ごろ技の稽古を積んでおくことが重要かと思う次第です。

具体的には、立会いの際、まず遠間から触刃、交刃の間の辺りまで、
剣先と足をうまく使ってじっくり相手の呼吸や拍子、手の内を読みつつ攻め合いながら間を詰めて行きます。
このとき、不用意に触刃や交刃の間辺りまで入り込んでくる相手もいるので、
最低でも蹲踞する頃くらいにはこちらが先を取るための動きについて心の準備ができていないと間に合いません。

こちらがどいう風に攻めを形にすれば相手の心(発露部位としては右足や剣先や左のこぶしなど)を動かすことができる
(打ち気にすることができる)かをイメージしながら相手の出方を探りつつ、こちらの気を伝えます。

時間にして10秒程度のことです。

ここで伝える「気」とは、よくアドバイスされる「さぁ、どこからでもかかってきなさい。さぁ、さぁ。」という上位の気位です。
「さぁ、私はあなたが少しでも打ち気になればそこを捉えますよ。あなたはどうしますか?」と問いかけるイメージだいうアドバイスもあるようです。

相手も同様のことを考えている(はず)ですから、相手の気勢とこちらの気勢が激突します。

この両者の乱れた気のぶつかり合いの中でチューニングがうまくいったとき、「合気になった!」と感じます。
気がかみ合うこの状態を気が熟した(あるいは機が熟した)と言うようです。

この機会を逃さずに、そこまでに得た情報に基づいて、堂々と確信を持って一足一刀の間に体を進めます。
この時「体は実、刀は虚」です。

相手はこちらの体が実になったのに対してなんらかの反応を見せます。
こちらはその相手の反応に従って技を施します。
「引出す」とはこの辺りで起きる作用のことを言うと思います。

相手の反応はいくつか考えられますが、

・ 即座に打って出ようとする。 → この場合は迷わず出端技を施すことになるでしょう。

・ 引こうとする。 → この場合は体をさらに寄せることで心理的に追い詰めます。

・ じっとしていて動かない → この場合は居ついたものと判断して捨て身で技を出すしかないです。

・ 打つ気配はないが攻め返して出ようとする。 → この場合、あとはぎりぎりの辛抱比べです。

3番目の相手がじっとして動かない場合は少々判断が難しいのが実情です。
相手にこちらの攻めが効かなかったため微動だにしないのか、1枚も2枚も上手で、あまりにも余裕な結果動かないのか、
それともこちらの攻めに四戒が生じて居ついてしまったのか・・・そこのところが見た感じではわかりにくいからです。

素人と達人は紙一重とも言いますとおり、こちらが何を仕掛けてもただ刀を構えてじっとしている相手ほど厄介なものはありません。

現実的にはこの場合、相手が居ついたものと判断して思い切って捨て身の技を出すしかありません。
相手が1枚も2枚も上手だった場合には打って出た直後に思い知らされることになります。
が、審査や稽古は自分のためだけにあるのではないのですから、この時は素直に相手の実力を認めてまっすぐに打たれ、
すぐに気分を入れ替えましょう。ショックを受けている暇はないのです。

蛇足ですが、日ごろ上位者にお願いする稽古では常時この形を目指すべきです。
といいますか、こういう形の繰り返しの中にこそ、次のレベルへの突破口が開くと思っています。
上位のものを動かして打とうなどと姑息なこと考えていてはせいぜい待つ形になって当てるのが関の山です。
(いや、むしろこの部分は自分への戒めです。はい。)

最後のパターンの場合は相手もかなり稽古を積んでいると思われます。互いに合格するチャンスです。

両者が一足一刀の間から少し進んだ「打ち間」に完全に入ってしまいますので考えている余裕はありません。
自分の直感を信じて捨て身の技を出すしかありません。
こちらが相手より少しでも多く余裕を持っていて、日ごろきちんと基本稽古に取り組んでいれば、
応じ技、返し技などの「後の先の技」を施せるでしょう。自分を信じましょう。

当たり前ですが、このケースでは出端技は決まりません。
ここで最初から出端技だけを狙って相手を引出していると一方的にやられます。

この通り、「後の先の技」は考えている時間のない状態で「読み」を超えて繰り出される
「直感(あるいは直観)」の世界の技だと理解しています。

最初から応じ技、返し技、すりあげ技、抜き技などのいわゆる応じ技を打ってやろうなどと決めていては
悪くすると相手の動きを待つことになります。
相手が繰り出す技の起こりを見極めてから技を施すのなら出端技で十分です。
そもそも相手の起こりを目で見てから応じ技を選んでいると出遅れるでしょう。
昨年夏の福岡での審査で私はこの憂き目に会いました(^_^;)

あの時の自分が、相手が出てくるところに応じ技、などと思っていたのは明白です。

とっさに応じる、とっさに返す、とっさにすりあげる、とっさに抜く・・・
これらは全て攻めて先をとり、相手の動きに「応じて」踏み込む過程でとっさに行われるのだと思います。
だからひとくくりにして「応じ技」というのではないかと推察しています。

というわけで、結果的に六段受審者のレベルではこの形で相手を引出しながら一足一刀の間に入ったときに出せる技というと、
せいぜい出端くらいということになるのでしょうか・・・。

そういう理解の下でなら「相手を引出して打つ技二アリーイコール出端技」と言えるかもしれません。

これまた蛇足ですが、七段審査ではこの辺りの技の練り具合を見られるようです。

同じ相手を引出すのでも、ぎりぎりまで余裕を持っておいて後の先の技を施せるだけの実力
(に裏打ちされた心の余裕)があるかということでしょう。
このレベルだと、下位のものを相手に引出しておいて出端を打てるのは当たり前だそうです。
そんな相手を下位のものが「動かして」打てるわけがありません。

また、我々が挑戦している六段では「勢い」が大事だと私の先生は申しております。

「攻め合いの中で有効打突を奪う勢い・・・わかるだろ?」と(^ー^* )♪

これが本当にわかっていればすでに合格しているのでしょうが、不肖の弟子は「わかったつもり」の所で苦悩中です。

色々とくどく書きましたが、ちょうど私も次の審査直前ということで自分に向けておさらいのつもりで考えてみました。

お互いに合格するまで粘り強くがんばりましょう♪

初めて投稿します。
いろいろ読ませていただきしたが、剣道に対する真摯な姿勢に頭が下がります。
剣の理合いもよく研究されており、在津さんが6段に合格される日も遠くないと思います。
私は、現在49歳、剣歴もたいしたことなく、最高は高校時代の県大会準優勝(団体)くらいで、大学でも体育会には入らず、同好会で幽霊部員の状態でした。就職後、職場に剣道部があり、高校の先輩に誘われて入部。地元の試合に出て、勝ったり負けたりで喜んでいる趣味の剣道を楽しんでおりました。
37歳で5段に合格。6段は42歳から受け始めましたが、ここから苦しみが始まりました。受けても受けても不合格で、評価もBが1回で、あとは全部Cでした。去る4月29日の京都の審査で、7年かかって13回目の挑戦でやっと合格させていただきました。合格したからといって、突然剣道が強くなったわけでも、立派になったわけでもなく、これからも修行と思っておりますが、これまでの審査の経過と今回合格できた理由(と勝手に思っておりますが)を述べさせていただきます。
・1回目〜3回目 毎年1回福岡で受審しておりました。今では笑ってしましますが、そのときは「相手は絶対面をうってくるのに、なんで一緒に面を打たんといかんの」と考え、出小手や抜き胴ばかり打っておりました。当然、打つ前の攻めもないので当たっても評価に値しませんが、そのときはそんなこともわからず、「わしの出小手が入ったのに、何で相手が通るんや」と真剣に憤りを感じておりました。
・4回目〜7回目あたり 面を打った相手が通るのを見て「審査ではやっぱり面を打たんといかんのや」と思い、間合いに入ったらろくに攻めもせず、「やー面」と思いっきり打ち込みました。ときには相手の面よりも自分の面が早く当たり「やった今回は合格かも」と思うときもありましたが、当然不合格。ここら辺から本当に悩み始めました。
・5回目〜前回 8段の先生には、「気迫が足りん」、7段の先生には「打つ前の攻めがない」「溜めがない」などいろいろ言われ、先に打つと「溜めがない」待っていると「攻めがない」、どうしたらいいんやと分けがわからなくなりました。本当に悩み、いろいろな剣道の本を買って読んだり、いろいろな道場に出稽古に行き、稽古をつけてもらいましたが、だめでした。
・今回 昨年4月、転勤になり、単身赴任となりました。夜は剣道しかすることがありません。地元の剣道会に週2回、近くの企業の剣道場に2回。家に帰って土、日は松山の武道館で朝稽古(8、7段の先生にかかっていきます)と週6回稽古するようになりました。特に木曜日は、7段に挑戦中の先生とマンツーマンで、基本打ち(切り返し、面打ち、小手面、相面(3回連続)、かかり稽古)だけを繰り返し1時間程度稽古する日々が1年間つづきました。最初は切り返しを5〜6回しただけで、吐きそうになりましたが、次第についていけるようになり、11月の名古屋審査で、その先生が7段に合格し、この4月に私が6段に合格しました。
・私なりに考える合格の理由
 ①基本打ちをすることにより、打ちがしっかりしてきました。
 ②遠間から打てるようになり、間合いに入るまでの攻防ができるようになりました。(まだ十分ではありませんが)
 ③相面、かかり稽古をすることにより、相手と縁の切らない稽古ができるようになりました。
・今回の審査では、今までの審査で感じなかったことを感じました。それは、自分の前に立会いをしている人たちをみて「みんな稽古してないな」と感じたことです。立会いでは、1人目は出鼻面、返し胴。2人目は攻めて小手、引き面が決まり、合格することができました。これも、これまで稽古をつけてくれた先生方のおかげですが、やはり大切なのは、基本稽古なのを実感しました。高段者の先生と地稽古で練った稽古をつけてもらうことも大切ですが、私などのレベルでは「何で打たれたかわからん」状態や、打たれるのがいやでよけながら打つ状態に陥ってしまいがちです。合格したから言うわけではありませんが、遠回りなようでも、基本稽古をすることが合格への近道だと思います。つたない文章ですみません。
 

愛媛県の尾崎さん、まずは六段合格おめでとうございます
そして、私の拙いブログに貴重なコメントを頂きありがとうございます。

私はその後、死のロードというか長いトンネルというか、つまり出口が見えない道をとぼとぼと歩いているような感覚陥っておりまして、いまだ悶々とした毎日を送っております。前回5月の名古屋が6回目でしたが、またしても涙の味噌カツ&えびフリャーを食して帰福しました(^_^;)

六段審査では、私の身の回りでも多くの剣友が悩み、苦しみ、もがいております。

ところで、私は毎回の審査のたびにテーマを設けてイメージを持って試みています。立会い者を見てこの人は合格するなということはわかるようになっているのでこのイメージはそれほど遠くはないと思うのですが、最後の詰めの部分で何か足りない気がしています。

今は8月の福岡での審査に向けて、この「足りない何か」を探す取り組みを開始したところです。この時期はとても情報に飢えていますw

そんなタイミングでコメントを頂いたのでありがたいです。

機会があればお聞かせいただきたいのですが、

> ③相面、かかり稽古をすることにより、相手と縁の切らない稽古ができるようになりました。

の部分にある、「相手と縁の切らない稽古」というのは具体的にはどういうイメージになりますでしょうか?

> 特に木曜日は、7段に挑戦中の先生とマンツーマンで、基本打ち(切り返し、面打ち、小手面、相面(3回連続)、かかり稽古)だけを繰り返し1時間程度稽古する日々が1年間つづきました。

また、上記の稽古はそれぞれ5本セットを10回づつとかそういうイメージでしょうか?

できれば日頃の活動に取り入れさせていただきたく思います。
良かったらアドバイスをお願いいたします。

いずれ近いうちに愛媛にも防具を持って行きたいと思います。
その時はぜひ稽古をつけて下さい。
気が向いたらコメント投稿欄にメールアドレスをご記入いただければ幸いです。

一日でも早く芳しい成果を報告できるよう精一杯がんばります。
今後ともよろしくお願いいたします

パソコンが自宅にしかないので、返事が遅くなってすみません。
私も落ち続けている間、ずーと出口の見えないトンネルにいるような感じでした。「受けるのもうやめようか」と何度も思ったものでした。大分前のことですが、愛媛県剣道連盟理事長の俊野先生(教士7段)に「尾崎くん、審査で落ちるのは自分を否定されることだ。つらいやろ、それに耐えて受け続けたら、いつかは受かる」と言われましたが、口では「はい」と言いながら、心の中では「先生いつかって、いつですか?」と聞きたいくらいでした。落ち続けると心まで卑屈になるもので、職場の剣友や自分より後に5段になった年下などが6段に受かるとなおさらです。陰で「尾崎はまた落ちた、あいつには6段無理」などと笑っているのではないか、次受けてもまた落ちるのではないかと悪い方に考え、ますます自信のない卑屈な剣道になっていくという悪循環に陥っておりました。実は、今回京都審査の前も、松山の加茂武道具店の加茂先生(教士8段)に「先生、自分より若いのはどんどん受かっているのに、自分だけ何回も落ちると受かる気がせんのです」などど弱気な発言をしたところ、先生から「受かるまで30回でも40回でも受ければよい。笑うやつには笑わしておけ。そんなことは気にするな」と言われ、覚悟が決まったような気がします。また、一緒に基本稽古をしている7段の先生には、「この1年間の基本稽古を8段の先生に見てもらうつもりで受けなさい」と言われ、無欲で審査に臨めたのがよかったような気がします。(運良く通ったから今そう言えるので、落ちていれば、また、同じように悩み続けていたでしょうが・・・)
さて、前回説明が下手で分かりにくかったと思いますので、補足したいと思います。
・表現が適当でなかったかもしれませんが、「相手と縁の切らない稽古」とは、次のとおりです。
相面は3回連続で面を打ち合いますので、1回目を打ってすれ違ったあと、すぐに振り向いて構えないと、振り向いたときには、先生がすでに構えていてパンと面を打たれてしまいます。かかり稽古は、相がかりですので、打っ後もすぐに次の技を打たなければ、打たれてしまいます。この稽古のおかげで、隙あらば相手を打とうという姿勢が身につきました。今回の審査で、2回目の立会いのとき、近間で相手が気を抜いたのがわかりましたが、そのときには無意識に引き面を打っておりました。
・木曜日の基本稽古のメニューは、日によって少し変わりますが、大体次のとおりです。
①切り返し 大きく速く全力で、竹刀で受けるのを交互に5回。最後は、正確に大きく面金で受けるのを1回
②1拍子で打つ面打ち  左足を継がずに1足で打てる間合いから3本連続(最初の2本は面を打った後、抜けずに相手の前でそのままピタッと止まる(学生のように拍子をつけて勢いで打つと止まれません)。最後の1本はすり抜ける。)を2セットずつ交互に。5回
③1拍子で打つ面 ①のすり抜ける面を4本セットずつ交互に。5回
④小手面 小手を打った後、はずみで面を打たずに、中心につけてから面。小手−突き(打たないが)−面という感じ。2本セットずつ5回
⑤面と小手面 速い面を往復(2本)の後、速い小手面を往復(2本)づつセットを交互に5回
⑥間合いの攻防から面 お互いに動いて攻め合いの中での面(足が止まると注意されます。)4本セットを交互に。5回
⑦相面3本連続 5回
⑧10〜15秒程度の1息の相がかり 5回
⑨全力で切り返し 1回
以上です。役に立ちそうなメニューがあれば、取り入れてください。
「立会い者を見てこの人は合格するなということはわかるようになっている」のなら合格は近いのではないでしょうか。以前7段の先生がそう言っておりました。
もし愛媛に来ることがあれば、松山の県武道館の朝稽古(6:30〜7:30、月曜日以外毎朝)においでください。8段の先生が4人、7段の先生が7〜10人くらい元に立って稽古をつけてくれます。
では、お互いに剣行に励みましょう。

  

愛媛の尾崎さん、コメントありがとうございます
大変参考になりました。

夏の審査に向けて取り組んでみようと思います。

愛媛で稽古、ぜひとも実現したく思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

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