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間合いについて


今回は「今年の稽古のテーマ」について書いてみます。

自分の間合いを知っていますか?

私は、昨年の終わりごろ、自分の間合いをわかっていないことに気がつきました。

なぜ気がついたか。

昨年の稽古では、「足と腰で行う剣道」がテーマでした。
どうすれば「その場でもがく剣道」から脱却できるかに取り組んでいました。
その結果、足と腰の使い方だけを研究しても解決しないことに気づきました。
足と腰で剣道を行うために不可欠なもの、それは、「先」の意識だったのです。
そこで、途中で「先を取ること」を第一のテーマに変更して稽古に臨みました。

すると、以前に比べて足や腰が前に出るようになってきたのですが、
すぐに次の問題が発生しました。
今度は打突が深くなりすぎるようになったのです。
気がつくと、すごく近間まで接近してしまっています。

なぜだろうと悩んでいたある日、いつものように稽古をしていると、
ある先生から「打ち間に入ってから考えてちゃだめだ。」と注意されたのです。
それも、立て続けに色々な先生から・・・。

「打ち間に入ったらすぐに打つ。これが大事だ。」と。

自分ではもちろんそんなつもりはありません。
つまり、打ち間に入っていることに自分で気がついていないのです。

考えてみれば、間合いについて取り組んだことなどそれほどありませんでした。
深く考えたことも正直ありません。
自分が一歩踏み込んで打てる距離が「打ち間」だと思っていただけです。
遠間、触刃の間、交刃の間、一足一刀の間、近間と言葉は知っていました。

交刃したら、後は自分が届きそうだと感じた距離から打ち込んできただけです。

これではいけないと感じて、すぐに間合いの研究を始めました。

そういうわけで、私の今年の稽古は「間合いを知ろう!」がテーマです。

皆さんはどんなテーマで稽古をされていますか?

よかったら聞かせてください。


コメント

以下は私の考える剣における間合い論です。間合いを考える時、一般的には背の高い方が有利で、腕の長さ+剣の長さ=制空圏という考えがあると思いますが、これは実は正しくはないと思うのです。名人達人に背の低い方が多いという事実がそれを裏付けると思います。かつて過去の達人たちと自分では何が違うのかを精査したところ、二つに集約されました。一つ目は「虚実の技量」、二つ目は「身体操作の技量」です。虚実の技量は、すでに相手と相対したところから始まっておりますが、それが最大に重要となるのは「相手の間合い」の境界線においてです。相手が狙いを定めてきてこちらに打ち込みたくなるその場所、においてです。ここが「実」であると、打ち込まれるリスクがありますが、ここを「虚」でありながら「実」と見せかける、その技量が雲泥の差なのだとおもいます。でなければ、反射スピードだけの世界となり、血気盛んな若者を打ち倒すことができません。また「身体操作」ですが、これも肚、いわゆる丹田操作の巧拙だと思います。姿勢がちからを生み出すのだと。一旦これができるようになると、剣先に自分の体重を乗せられるようになるはずで腕の筋力は全く必要なくなるようです。これには肩甲骨を常時垂直に立てておきつつ重心は会陰にある、ということが必要になってきます。もし剣先にいきなり体重分の重さがかかってきたら、つばぜり合いで剣先を接触している相手はどうなるでしょうか?くずれるはずですよね?ここで相手の間合いは死に体となり、自分の間合いだけが生きます。槍の操作などをするとこの感覚がわかりやすくなるのではないでしょうか?剣も槍も肚で操作するものだとおもうのです。えらそうに書きましたが、私もまだまだ修行中です(笑)。

ですので、自分の間合いを知っている以上に相手の間合いを瞬時に見取ることが必要かと。

なるほど。まさしくその通りだと思います。

「敵を知り己を知らば百戦危うからず」というところでしょうか。

実感としては、立合いで冷静でいられれば、敵の間合いは案外ある程度の精度で見取ることができるような気がします。

が、逆に自分の間合いに関しては、得てして過小評価しがちな気もします。

そこに心理的な条件が加わると複雑になっていきます。

少しでも確実に相手を捕らえようと言う思いが強く働くと、相手に近づきすぎてしまうし、逆に相手に打たれたくないと言う思いが強く働きすぎると、相手を過大評価するあまり、間合いをつめることができなくなったりして・・・。

心が頭の言うことを聞いてくれず、体はどちらかと言うと頭よりも心の言うことを聞きがちな現実世界で、思うようにならない苦しい構図から抜けきれずにいたりします(^_^;)

修行あるのみでしょうね。

コメントありがとうございました。
大変参考になりました。

僕はまだ12歳で剣道を始めたばかりです、しかしその意見には賛成です  生意気ながら、剣道はオリンピックなどの大きい大会で、勝利だけを追い詰めるものではなく、剣道そのものを深めていきたいです

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